
「何度説明しても、なかなか分かってくれない」
「前にはできていたのに、今日は手が止まっている」
「勉強の話をすると、嫌がってしまう」
お子さんの学習を見守る中で、このように感じることはありませんか。
教えようとしているのに伝わらない。力になりたいのに、親子で苦しくなってしまう。そんなときは、少し立ち止まり、その子の中で学びがどのようにつながっているのかを、一緒に確かめてみませんか。
小金井市のフリースクール・発達支援のスプラウツでは、一人ひとりの興味や特性、理解の状態を大切にしながら、学びを支えることを考えています。
今回は、子どもの「分からない」を理解する手がかりとして、「学びの流れ」についてお伝えします。
学びは、小さな理解のつながりから生まれます
私たちは、新しいことを学ぶとき、それまでに知っていることや経験したことを手がかりにしています。
例えば、お菓子を一つずつ配る経験が、数と物を対応させる学びにつながる。好きな生き物について調べることが、言葉を知り、文章を読むきっかけになる。
学びは、教科書の最初のページからだけ始まるものではありません。生活や遊びの中にも、理解の入り口があります。
「これを知っている」
「前にやったことと似ている」
「そういう意味だったんだ」
こうした気づきがつながることで、次のことを考えやすくなります。そのつながりを、ここでは「学びの流れ」と呼びたいと思います。
流れるように理解するとは、速く答えることではありません。ゆっくりでも、その子なりに意味を確かめ、次の考えへ進めることです。
手が止まる場所には、理由があります
大人には簡単に見える課題でも、子どもにとっては、いくつもの作業が重なっている場合があります。
問題文を読む。言葉の意味をつかむ。何をするのかを考える。答えを出す。文字や数字で書く。
「この問題をやってみよう」という短い声かけの中にも、これだけの過程があります。
どこかで迷えば、手が止まることがあります。口では答えられても書くことが難しい子、計算はできても文章の意味をつかみにくい子、説明が長いと何から始めるのか分からなくなる子もいます。
その姿だけを見て、「やる気がない」「集中していない」と決めつけることはできません。
大切なのは、「なぜできないのか」と問い詰めることよりも、「どこから困っているのか」を一緒に探すことです。
「理解のよどみ」は、子ども自身の問題を意味しません
学びの流れが途中で途切れる状態を、「理解のよどみ」と表すことがあります。
ただし、それは子ども自身を評価する言葉ではありません。説明の仕方や課題の量、周囲の環境が、その子に合っていない場合もあります。
例えば、言葉だけで説明されると分かりにくくても、実物を並べると理解できることがあります。たくさんの問題が見えていると取りかかれなくても、一問だけ示すと始められることがあります。
また、その日の疲れや不安によって、いつもならできることが難しく感じられる場合もあります。
「昨日できたのだから、今日もできるはず」と考える前に、今日の様子を確かめたいものです。
学び方や環境を調整することで、取り組みやすくなる部分がないかを考えていきます。
数の学びは、身近な体験からつなげられます
例えば、「5」という数字を読めることと、5個の物を数えて取り出せることは、同じではありません。
数字を覚えていても、実際の物の数と結びついていないことがあります。その場合は、おはじきや積み木を使い、一つずつ触れながら数えることから確かめられます。
「ここに3個あるね。あと1個置いたら、いくつになるかな」
目の前で増える様子を見たり、自分の手で動かしたりすることで、数の変化を確かめます。
買い物やおやつの準備も、数に触れる機会になります。ただし、すべての遊びや生活場面を勉強に変える必要はありません。本人が関心を向けたときに、短いやり取りを添えるくらいからでもよいのです。
意味がつながる経験を重ね、その子の理解に合わせて数字や式へ進めていきます。
言葉の学びも、「知っていること」から広がります
文章を読むことが苦手な子には、文字を読む難しさだけでなく、言葉の意味や内容を思い浮かべる難しさがあるかもしれません。
例えば、「比べる」「順番」「理由」といった言葉は、大人が思うほど意味が共有されていない場合があります。
言葉を繰り返すだけで伝わらないときは、具体的な物や場面を使って確かめます。
二つの積み木を並べて「どちらが高いかな」と話す。短い物語を一緒に読み、「この子は、どうして戻ってきたのかな」と考える。
指さしや絵、短い言葉など、その子が表しやすい方法で答えてもらうこともできます。
好きな図鑑や工作の説明書が、読むきっかけになることもあります。興味を入り口にしながら、言葉と意味を少しずつ結びつけていきます。
不登校中の学び直しは、現在地を確かめるところから
学校を休んでいる期間があると、保護者の方は「勉強が遅れてしまう」と心配になると思います。子ども自身も、学習への不安を抱えていることがあります。
ただ、学年の教材を一度に進めようとしても、まだ学んでいない内容や、理解が曖昧なところが重なっていれば、負担が大きくなります。
まずは、どこなら安心して取り組めるのかを確かめることが大切です。
以前の学年の内容に戻ることも、本人が得意な教科から始めることも、一つの方法です。取り組む時間や量についても、本人と相談しながら決めていきます。
休養が必要なときに無理に課題を増やすのではなく、その日の状態や希望を確かめながら、学びとの接点を探していきたいと思います。
「分からない」と伝えられることも、大切な一歩です
子どもは、困っている場所をいつも上手に説明できるわけではありません。
「分からない」と言う代わりに、黙る、話題を変える、席を離れるといった姿になる場合もあります。その行動の意味は一つではないので、決めつけずに確かめることが必要です。
「読むところが難しかった?」
「一緒に一つだけやってみる?」
「少し休んでからにしようか」
答えやすい問いかけや選択肢が、気持ちを伝える助けになることがあります。
分からないところを伝えられたら、それ自体を大切に受け止めます。安心して助けを求められる関係も、学びを支える土台です。
小さな変化を、その子の歩みとして見つめる
学びの変化は、正解の数だけでは測れません。
問題を自分から見た。分からないと言えた。昨日は難しかった作業を、少しの手助けで進められた。
そんな変化も、次の学びにつながる大切な一歩です。
一方で、考え込む時間や、うまくいかない日があることも自然です。すぐに答えが出ない時間にも、その子なりの試行錯誤があるかもしれません。
スプラウツでは、子どもの反応を確かめながら、手を貸すところと、本人に任せるところを考えていきます。
小金井市で、不登校中の学習支援や、発達特性に合わせた学び方にお悩みの方は、スプラウツへご相談ください。
学びの流れは、一人ひとり違います。その子が今いる場所から、分かること、できること、興味を持てることをつなぎ直していく。
「自分にもできた」「もう少しやってみたい」という気持ちにつながるよう、その歩幅を大切にしながら、一緒に学びを支えていきたいと考えています。
-
聡生館夏期講習のチラシを見たあと、まだ迷っている保護者の方へ ―― 小金井市の中学生が“この夏だけは変わる”ために必要なこと ――2026/06/30 -
スプラウツシリーズ第6回「未来へつながる自立支援 — スプラウツのこれから」2025/10/11 -
聡生館AI時代の受験勉強に必要なのは「教材」ではなく「学びの設計」である2026/01/17


