
学校を休む日が続くと、保護者の心には、さまざまな不安が浮かんできます。
「授業についていけなくなってしまうのでは」
「家ではほとんど勉強していないけれど、大丈夫だろうか」
「今は休ませたい。でも、将来の選択肢が狭くなることも心配……」
子どもの気持ちを大切にしたい思いと、学習の遅れを何とかしたい思い。その間で揺れるのは、子どもの未来を真剣に考えているからこそです。
小金井市のフリースクール・スプラウツでは、学び直しを考えるとき、学年や教科書の進度だけでなく、「今、その子がどのような状態で、何なら取り組めそうか」を大切にしています。
学びを再び動かすために、どこから始めればよいのでしょうか。家庭でできる関わり方とともに考えてみましょう。
■「遅れを取り戻す」の前に、今の困りごとを知る
勉強をしていない姿を見ると、つい「少しぐらいやったら?」と声をかけたくなるものです。しかし、同じように机に向かえない子どもでも、その理由は異なります。
疲れていて考える余裕がない子。分からない問題が増え、教科書を開くこと自体がつらい子。間違えることが怖い子。何から始めればよいか分からず、動けなくなっている子もいます。
まず知りたいのは、勉強時間の長さよりも、「何が取り組みにくくしているのか」です。
「どこが分からないの?」と答えを求めるより、「読むのが大変?」「量が多いかな?」「一緒ならできそう?」と、具体的な選択肢を示す方が話しやすい場合もあります。
すぐに答えが出なくても構いません。子どもの様子を見ながら、負担になることと、取り組みやすい条件を一つずつ探していきます。
■ 安心することと、学ぶことを対立させない
「今は休ませるべきでしょうか。それとも、少しは勉強させるべきでしょうか」
保護者からよく聞かれる悩みです。ただ、休息と学習は、必ずしもどちらか一方を選ぶものではありません。
疲れが強い日は休む。好きなことに関心が向いた日は、一緒に調べてみる。本人が「これならできそう」と感じた日は、短い課題に取り組む。そのように、その日の状態に合わせて調整してよいのです。
大切なのは、できた翌日に急に量を増やしたり、取り組めない日に前日と比べて責めたりしないことです。
「今日はここまでにしよう」と安心して終われる経験も、次の学びを支えます。学習を、毎日の頑張りを判定される時間にしないようにしたいものです。
■ 出発点は、学年よりも「分かるところ」
学習を再開するとき、在籍している学年の教材にこだわる必要はありません。
例えば、分数の計算が難しいとき、その背景に九九や割り算の不確かさがあるかもしれません。文章題で止まってしまう場合も、計算そのものではなく、言葉の意味や問題の場面がつかめていないことがあります。
必要なのは、「何年生なのだから、できるはず」と考えることではなく、どこまで理解できていて、どこから支えが必要なのかを確かめることです。
一つ前の単元や、以前の学年の内容に戻ることは、遠回りとは限りません。分からないまま先へ進むより、土台を確かめた方が取り組みやすくなることがあります。
ただし、年齢より幼く見える教材を嫌がる子もいます。内容だけでなく、教材の見た目や本人の気持ちにも配慮し、「これならやってみよう」と思えるものを選びましょう。
■ 最初の目標は、小さく具体的にする
学習の再開時に、「毎日一時間」「遅れた分を全部」と決めると、始める前から負担になることがあります。
最初は、計算を二問、文章を三行、英単語を二つなど、終わりが見える量からでも十分です。五分が長ければ、一問だけでも構いません。
「今日はどちらをやってみる?」と、二つの課題から本人に選んでもらう方法もあります。自分で選ぶ余地があると、取り組みへの気持ちを確かめやすくなります。
終わったら、「もう少しできるでしょう」と追加する前に、最初の約束を守ります。
「自分で選べたね」
「分からないところを聞けたね」
「決めたところまで取り組めたね」
正解の数だけでなく、取り組む過程を具体的な言葉で認めることも大切です。量を増やすのは、本人の様子を見ながら相談していきましょう。
■ 好きなことも、学びの入り口になる
机に向かっていない時間にも、学びにつながる経験はあります。
工作で長さを測る。料理で材料の量を考える。好きな生き物について本を読む。ロボットを組み立てながら、動かない理由を考える。こうした活動には、読む、数える、比べる、予想する、説明するといった要素が含まれています。
例えば、工作が好きなら「使った材料を三つ書いてみよう」、生き物が好きなら「分かったことを一つ教えて」と、無理のない範囲で言葉や数に結び付けられます。
ただし、好きな活動を毎回「勉強の課題」に変える必要はありません。夢中になって楽しむ時間そのものも大切にしてください。
興味を入り口にしながら、教科の学習で補いたい部分は別に確かめる。その両方を組み合わせることで、その子に合った学び方を考えられます。
■ 家庭だけで、すべてを背負わなくてよい
保護者が先生役まで担おうとすると、声をかけるたびに言い合いになり、親子ともに疲れてしまうことがあります。
家庭で取り組みにくいからといって、保護者の関わり方が悪いわけではありません。親には甘えや不安を強く出す一方、家庭以外の大人となら落ち着いて取り組める子もいます。
学校やフリースクールなどと相談し、教材選びや学習の確認を分担することも一つの方法です。
学校には、今の状態を伝えたうえで、「優先する内容を絞れるか」「課題の量を調整できるか」などを相談してみましょう。出席や評価の扱いについては、学校ごとに確認することが必要です。
家庭は、毎日勉強を管理する場所である前に、困ったときに戻ってこられる場所であってほしいと思います。
■ スプラウツが大切にする、一人ひとりの学び直し
スプラウツが大切にしたいのは、子どもを一律の進度に合わせることではなく、その子が再び学びに向かえる道筋を一緒に考えることです。
どんなことに興味があるのか。どのような説明なら分かりやすいのか。どのくらいの量なら無理なく取り組めるのか。対話や活動の様子から手がかりを探し、学習の内容や進め方を考えていきます。
保護者の「このままで大丈夫だろうか」という不安も、大切な相談の出発点です。子どもの安心と、将来につながる学習の両方を見据えながら、今できることを整理していきたいと考えています。
学習の空白があっても、学び直しの出発点は探せます。
今日、問題を一つ解けたこと。分からないと言えたこと。好きなことを誰かに話せたこと。その小さな変化を確かめながら、次の一歩を考えていきましょう。
小金井市で、不登校のお子さまの学習支援や学び直し、フリースクールをお探しの方は、スプラウツへご相談ください。お子さまの今の様子と、保護者の方のお気持ちを伺うところから、一緒に始めていきます。
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