
療育について相談を受けていると、多くの保護者の方がこうおっしゃいます。
「週に1回の療育だけで大丈夫でしょうか?」
「教室に通わせていれば変わっていきますか?」
その気持ちはとてもよく分かります。
専門家に任せることで、何かが大きく変わるのではないか。そんな期待を抱くのは自然なことです。
しかし、長年の療育の歴史や研究、そして現場での実感から言えることがあります。
それは、
👉 子どもを一番変えるのは「日常の関わり」
である、ということです。
そして、この考え方はABA(応用行動分析)という療育の分野でも非常に重要視されています。
ABA療育が教えてくれる「時間の意味」
ABA(Applied Behavior Analysis)は、行動を科学的に分析し、望ましい行動を増やしていく療育法です。
この分野の初期の実践では、非常に長時間の療育が行われていました。
特に有名なのは、心理学者イヴァー・ロヴァース(Ivar Lovaas)の研究です。
彼は、自閉スペクトラム症の子どもに対して、
👉 1日数時間から最大40時間/週という集中的な療育
を実施しました。
これは単に「たくさんやればいい」という意味ではありません。
重要なのは、
✔ 行動は環境との関係で変わる
✔ 繰り返しの中で学習が起こる
✔ 日常生活そのものが学びの場になる
という点です。
つまり、療育は教室の中だけで完結するものではない、ということです。
なぜ家庭が最も重要なのか
考えてみると、子どもが一番長く過ごす場所はどこでしょうか。
それは、
👉 家庭です。
週1回の療育が1時間だとしても、家庭で過ごす時間は圧倒的に長い。
この時間の中で、
・どんな言葉をかけられるか
・成功体験をどう扱うか
・失敗したときにどう関わるか
これらの積み重ねが、子どもの行動や自己認識を形作っていきます。
ABAでは「強化(reinforcement)」という考え方があります。
良い行動が起きた瞬間に、適切な反応をすることで、その行動が増えていきます。
これは特別な技術ではありません。
例えば、
・できたことをすぐに認める
・小さな変化に気づく
・叱るよりも成功を見つける
こうした日常の関わりが、実は療育そのものなのです。
家庭療育=頑張りすぎることではない
ここで誤解してほしくないことがあります。
家庭療育が大切、と聞くと、
「親が頑張らないといけない」
「家でも訓練しないといけない」
と感じてしまう方も多いです。
でも、私たちが考える家庭療育は、
❌ 特別な教材を使うこと
❌ 毎日訓練すること
ではありません。
むしろ、
✔ 普段の生活を学びの機会として見ること
✔ 子どもの行動の意味を少し理解すること
✔ 親自身が安心して関われること
が重要です。
スプラウツが目指しているもの
スプラウツでは、療育を「施設の中だけの支援」とは考えていません。
本当に大切なのは、
👉 家庭・学校・本人の世界がつながること。
だからこそ、
・保護者との対話
・家庭でできる関わり方の共有
・無理のない実践
を大切にしています。
療育は、専門家が子どもを変える場所ではありません。
保護者と子どもが安心して関われる環境を整えること。
それが結果として、子どもの変化につながっていくのです。
「完璧な関わり」を目指さなくていい
最後に、保護者の方へ。
療育に正解はありません。
いつも完璧に関われなくても大丈夫です。
むしろ、
✔ 今日ひとつ笑顔で関われた
✔ できたことに気づけた
そんな小さな瞬間こそが、療育の本質です。
子どもは、長い時間を共に過ごす人から一番学びます。
だからこそ、家庭の時間は、何よりも大きな力を持っています。
🌱
by Dr. Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所 代表理事
聡生館/Sprouts 代表)
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