
フリースクール・スプラウツでは、不登校や引きこもり、学習や集団生活に困難を抱える子どもたちと日々向き合っています。その中で、**WISC検査(知能検査)**の結果についてご相談を受けることも少なくありません。
「検査結果をどう受け止めればよいのか分からない」
「数値を見ると不安になってしまう」
こうした保護者の声は、とても自然なものです。本記事では、WISC検査が本当に教えてくれること、そしてスプラウツがその結果をどのように活かしているのかをお伝えします。
WISC検査とは何を測るものなのか
WISC検査は、いわゆる「頭の良さ」を単純に測る検査ではありません。言語理解、視覚的な情報処理、作業の正確さやスピードなど、考え方や情報処理の特性を多面的に捉えるための検査です。
そのため、検査結果は
「この子はここができる・できない」
と判断するためのものではなく、
「どのような支援や学び方が合いやすいか」を考えるための手がかりだと言えます。
WISCで分かること、分からないこと
WISC検査から分かるのは、あくまでその時点での状態です。
学びやすい入り口、つまずきやすい場面、疲れやすさの傾向などは見えてきますが、
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人としての価値
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将来の可能性
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心の回復力
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環境が変わった後の伸び
こうした大切なことは、数値では測ることができません。
検査結果は「評価」ではなく、支援のための地図のようなものなのです。
不登校の子どもと検査結果の関係
不登校や長期欠席の状態にある子どもは、強い不安や緊張、自信の低下を抱えていることが少なくありません。そのような状態で検査を受けると、本来の力を十分に発揮できないことがあります。
これは「能力が低下した」のではなく、
**「能力を使えない状態になっている」**と捉える方が適切です。
スプラウツでは、安心できる環境の中で心が落ち着いてくると、検査結果だけでは想像できない理解力や表現力を見せる子どもたちを数多く見てきました。
スプラウツがWISC結果をどう活かしているか
スプラウツでは、WISCの数値だけで子どもを見ることはありません。
検査結果は、
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無理をさせないため
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不適切な関わり方を避けるため
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成功体験を積み直すため
の参考資料として活用します。
大切にしているのは、日々の関わりの中で見える子どもの表情や変化、その子自身のペースです。検査結果は、子どもを縛るものではなく、支援を柔軟に設計するためのヒントとして位置づけています。
保護者の方へ
検査結果を前に、不安になることは決して悪いことではありません。ただ、数値に一喜一憂しすぎず、
「今はどんな支え方が必要なのか」
「どんな環境なら安心できるのか」
という視点を持つことが、子どもの回復と成長につながります。
子どもは、安心できる場所と信じてくれる大人がいれば、必ず自分の力を取り戻していきます。
おわりに
WISC検査が教えてくれるのは、子どもの限界ではありません。
それは、その子に合った支援の方向性です。
フリースクール・スプラウツは、数値の外側にある一人ひとりの物語に寄り添いながら、子どもたちの「これから」を支えていきます。
🌱
by Dr.Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所 代表理事
聡生館/Sprouts フリースクール代表)
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