
学力・人間力向上のためのブログ
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2025/11/05
🌱問いが生まれる場所 ― 学びの原動力としての「なぜ」
子どもたちと向き合っていると、「なぜ?」という言葉が、学びを動かす最初の一歩であることを感じます。
人が何かを理解しようとするとき、心の奥から自然に湧き上がる“問い”こそが、思考のエンジンです。
逆に言えば、問いが生まれない場所では、どんな知識も“心の外側”を通り過ぎてしまうのです。
■「なぜ?」は、心が動いた証拠
スプラウツでは、授業の中でも、子どもたちが何かに疑問を持った瞬間を大切にしています。
それは、子どもの“心が動いた瞬間”だからです。
たとえば、算数の授業で「どうしてこの式になるの?」とつぶやいた子がいました。
その子は、正しい答えを知りたいのではなく、「仕組み」を理解したいと思っていたのです。
その“なぜ”の中にこそ、学びの根っこが隠れています。
先生がすぐに答えを教えてしまえば、子どもの心は一瞬で静まります。
けれど、「どう思う?」「自分ならどう考える?」と問い返すと、
そこから子どもたちの思考が動き出すのです。
■「問い」があるから、学びが深まる
学校に行けなくなったり、学びに壁を感じている子どもたちは、
“わからないこと”がつらく感じることがあります。
でも、本当の意味での「わからない」は、学びの入り口です。
「わからない」と言える勇気こそが、再び動き出す原動力になるのです。
スプラウツの教室では、子どもたちが安心して「なぜ?」を口にできる雰囲気を大切にしています。
それは、“間違ってもいい”“自分の感じ方を話してもいい”という安全な空気があるからです。
学びとは、知識を積み上げることではなく、自分の中に問いを持ち続けること。
その問いがある限り、子どもたちはどんな環境でも成長していきます。
■「なぜ」を失ったとき、人は考えることをやめる
大人でも同じです。
日々の生活や仕事に追われ、「なぜ?」と考える余裕を失うと、
自分の生き方まで見えなくなってしまうことがあります。
「どうしてこうなっているのだろう」
「本当にこれでいいのだろうか」
そうした“心の中の問い”が、私たちを成長させます。
だからこそ、子どもたちの「なぜ?」を押しつぶさないこと。
それが教育において一番大切なことだと、私たちは感じています。
答えを与えるのではなく、問いを生み出せる環境を育てること。
それが、スプラウツがめざす“学びの自由”のかたちです。
■「なぜ」を共有する教室
スプラウツの教室では、先生も子どもたちと同じように「なぜ?」を考えます。
「どうしてそう思ったの?」
「その考え方、すごくおもしろいね」
そんなやり取りの中に、学び合いが生まれます。
先生が問いを立て、子どもが考える。
子どもが問いを返し、先生が一緒に悩む。
その繰り返しが、学びを生きた体験へと変えていくのです。
“問いが生まれる場所”とは、答えを持つ人が集まる場所ではなく、
共に考え、共に感じる人が集まる場所。
スプラウツは、そんな空間でありたいと思います。
■「問い」は希望の始まり
不登校の子どもたちの中には、最初は「なぜ生きているのか」「何のために学ぶのか」といった、
深い問いを抱えている子も少なくありません。
それは苦しみの表れであると同時に、“心が動いている”証でもあります。
誰かがその問いに耳を傾け、一緒に考えてくれたとき、
その子の中に「もう一度歩いてみよう」という希望が生まれます。
問いが生まれる場所には、希望が育つ。
それが、スプラウツが日々の中で実感している真実です。
■終わりに ― 問いのある学びへ
“問い”は、学びの出発点であり、同時に人が自分らしく生きるための光でもあります。
その光を消さないように、一人ひとりの「なぜ?」を大切にする。
それが、スプラウツの教育の原点です。
この冬、少し立ち止まって、自分の中にある「なぜ?」に耳を澄ませてみませんか。
それはきっと、あなた自身の未来へつながる小さな灯りになるはずです。
🌱
by Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所/Sprouts フリースクール代表)
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