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学力・人間力向上のためのブログ

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  • 2025/10/09

    シリーズ第4回「コミュニケーション力を育む関わり」

人と関わる力は“学び”の基盤

不登校や発達特性をもつ子どもたちの中には、他者との関わりを苦手とするケースが少なくありません。
人との対話や集団活動に苦手意識があると、学びの場での安心感や自信にも影響します。

しかし、心理学的研究によれば、社会的な関係性の中での学びこそが、子どもの知的・情緒的発達を促すことが明らかになっています。
発達心理学者ヴィゴツキー(Vygotsky, 1978)は、人間の発達は「社会的相互作用」を通して進むと述べ、学びには“他者との協働”が不可欠であると指摘しました。

スプラウツでは、この理論を実践的に取り入れ、**「関わることで育つ学び」**を日々の支援の中心に置いています。


安心して対話できる環境づくり

スプラウツの教室では、子どもが自分の意見を言いやすい“心理的安全性(psychological safety)”を大切にしています。
心理学者エイミー・エドモンドソン(Edmondson, 1999)が提唱したこの概念は、組織心理学だけでなく教育現場にも応用されており、安心して発言できる環境が創造性と学習効果を高めることが知られています。

スプラウツの支援では、

  • 「正解」を求めない対話

  • 発言を否定せず受け止める応答

  • 笑顔やうなずきで安心感を伝える非言語的サポート
    を心がけています。

こうした関わりによって、「話しても大丈夫」「自分の考えを伝えていい」という自己表現の基盤が育ちます。


共同作業がもたらす“社会性の芽”

スプラウツでは、個別学習だけでなくグループでの協働活動も大切にしています。
たとえば、教材づくりや簡単な工作、教室イベントの準備など、目的を共有する作業を通じて、自然に協力・分担・相談の経験が生まれます。

心理学者ジョン・デューイ(Dewey, 1916)は、教育とは「経験の再構成」であり、社会的経験を通じて人は成長すると説きました。
この理念に基づき、スプラウツでは「誰かと一緒にやり遂げる」経験を学びの中に組み込んでいます。

たとえば、ある中学生の生徒が教室の掲示物づくりを任されたとき、最初は「自分にはできない」と消極的でした。
しかし、他の生徒と一緒に作業を進めるうちに、「これ、こうした方が見やすいかも」と意見を出すようになり、最後には自信を持って人前で発表するまでに成長しました。
共同作業は、社会性の“リハビリ”であり、表現力の練習でもあるのです。


“役割を持つこと”が自尊心を育てる

スプラウツでは、教室の中で小さな役割を積極的に設けています。
「出席ボードの管理」「本棚の整理」「今日の片付け係」など、一見すると些細な仕事ですが、子どもにとっては**「自分が必要とされている」**という実感になります。

教育心理学者エリクソン(Erikson, 1950)は、児童期において「有能感(industry)」を得ることが、健全な自己形成に不可欠であると述べました。
この“自分にもできることがある”という体験が、社会性の芽を育て、他者と関わる意欲を生み出します。

スプラウツでは、こうした役割体験を通して、自己肯定感と他者への関心が同時に育まれていくよう支援しています。


表現力を育む「対話型支援」

子どもたちは、日々の出来事や感情を言葉にするのが難しい場合があります。
そのときスタッフは、「それって悲しかったね」「びっくりしたんだね」と感情の代弁を行い、言語化を助けます。
これは心理療法でも用いられる手法で、感情を言葉にすることで自己理解が深まり、相手に伝える力が養われます。

また、アートや作文、ディスカッションなどを通じて、
「言葉以外の表現」も大切にしています。
感情や考えを自分なりの形で外に出すことが、コミュニケーションの第一歩です。


教室での具体的な取り組み例

  • 対話タイム:一日の終わりに「今日楽しかったこと」を一人ずつ発表。話を聞く側の姿勢も学びます。

  • 協働プロジェクト:季節のイベントや壁面制作をグループで実施。分担と相談の練習を通じて協調性を育成。

  • ロールプレイ(役割演技):買い物・あいさつ・自己紹介などの社会スキルを体験的に練習。

  • ペア学習:理解の早い生徒がサポート役を担い、教える・教わる両方の立場を経験。

こうした実践を通して、スプラウツの教室は「人との関わり方を練習できる安心の場」となっています。


おわりに:関係の中で育つ「生きる力」

子どもが社会で自立して生きていくために、知識以上に大切なのは“人と関わる力”です。
スプラウツでは、学習支援と同時に、対話・協働・役割体験を通じてその力を育てています。

他者との関わりの中でこそ、子どもは自分を理解し、成長します。
そして「誰かと一緒にいることが心地よい」と感じた瞬間、学びと生き方がつながり始めるのです。


📚参考文献

  • Vygotsky, L. S. (1978). Mind in Society: The Development of Higher Psychological Processes. Harvard University Press.

  • Dewey, J. (1916). Democracy and Education. Macmillan.

  • Erikson, E. H. (1950). Childhood and Society. W. W. Norton & Company.

  • Edmondson, A. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350–383.

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