
学力・人間力向上のためのブログ
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2025/10/20
🌱 心の中に“地図”を描く ― 自分を理解する第一歩
■ 「自分を知る」ことは、学びの第一歩
私たちは勉強や人間関係など、日々の中で多くの選択をしています。
しかし、自分の考え方の“クセ”や感じ方の“パターン”に気づかないまま選択していることが少なくありません。
たとえば、誰かに注意されただけで「もうダメだ」と思ってしまう子がいれば、同じ言葉を「よし、次は頑張ろう」と受け取る子もいます。
この違いは、単なる性格ではなく、「心の中の地図」の描き方の違いです。
どの方向に道を伸ばし、どんな風に自分を見つめるか。
それを少しずつ整えることで、子どもたちは自分の中の“座標”を持ち、自分の立ち位置を理解する力を育てていきます。
■ スプラウツでの“心の地図づくり”とは
スプラウツでは、学習の前にまず“自分を見つめる時間”を持つようにしています。
それは、テストの点数や勉強量だけでは測れない「心の位置情報」を確認する作業です。
たとえば、授業の最初に「今日はどんな気分?」と聞くだけで、
子どもたちの表情や言葉のトーンが変わります。
「今日はなんかもやもやする」「昨日怒られたけど、もう大丈夫かも」など、
その一言一言が“心の地図”の現在地を示しています。
教師や支援スタッフは、その“今”を丁寧に受け止めながら、
「どこに行きたい?」「そのために何ができそう?」と、一緒に“道筋”を描いていきます。
それはまるで、旅のナビゲーターのような役割です。
■ 心の地図があると、迷っても戻れる
不登校や引きこもりの経験をもつ子どもたちは、ときに「自分がどこにいるのか分からない」と感じることがあります。
学校に行けなくなった日々、周囲との関わりが薄れ、時間の感覚も曖昧になってしまう。
そんなとき、必要なのは「早く元の道に戻ること」ではなく、“今、自分はどこに立っているか”を理解することです。
地図を描くということは、自分の過去や現在、未来を“つなげる”ことでもあります。
昨日の自分、今の自分、そしてこれからの自分。
それぞれを線で結ぶことで、「自分の物語」が見えてくるのです。
■ 比べるのではなく、“自分だけの道”を歩く
子どもたちは、とかく周囲と比べられることに敏感です。
「友だちはもう学校に戻ったのに」「あの子はテストでいい点を取ったのに」――
そんな比較が、心の地図を曇らせてしまうことがあります。
でも、スプラウツで大切にしているのは、「人と同じ道」を歩くことではありません。
“自分にしか描けない道”を探すこと。
その道は、ときに回り道かもしれません。
でも、遠回りの中にしか見えない景色もある。
その経験が、やがて他の誰かを励ます“光”になることもあります。
■ 心の地図を描く3つのステップ
1️⃣ 現在地を知る
今、自分がどんな気持ちで、どんなことを考えているのかを言葉にしてみる。
たとえ「わからない」でも、それが出発点です。
2️⃣ 目的地を思い描く
「こうなりたい」「こうしてみたい」と思える方向を見つける。
それは大きな夢でなくてもかまいません。
「明日は少し早く起きる」「今日は笑顔であいさつしてみよう」など、小さな一歩が大切です。
3️⃣ 道をつなぐ
どうすればそこに近づけるかを、一緒に考える。
行き詰まったときは、別の道を探せばいい。地図があるから、戻ることもできるのです。
■ “自己理解”が、未来の選択を変える
子どもたちが自分を理解する力を身につけると、学び方も人との関わり方も変わっていきます。
たとえば、「自分は集中するまで時間がかかる」「自分は静かな場所のほうが落ち着く」とわかるだけで、勉強の効率も上がります。
また、「怒られると縮こまるけど、励まされると頑張れる」と知っていれば、先生や家族との関係もより良い方向に変わります。
自己理解は、“自分を責める力”を、“自分を支える力”に変える作業です。
その力があれば、たとえ壁にぶつかっても、「また歩き出せる」勇気が生まれます。
■ スプラウツが目指す“地図を持つ子ども”
私たちが支援する子どもたちに共通しているのは、
「本当は前に進みたい」という気持ちをみんな持っているということ。
ただ、その進み方がわからないだけなのです。
スプラウツでは、一人ひとりが「心の中に自分だけの地図を描けるようになること」――
それを、支援の最初の目標としています。
そして、その地図をもとにして、学び・人間関係・未来への希望を結びつける。
“自分の人生をナビゲートできる力”を、少しずつ育てていくのです。
■ 終わりに
地図を持たない旅は、不安で、苦しくて、時に立ち止まることも多い。
でも、自分の中に“心の地図”を描けたとき、
子どもたちは「もう一度、歩いてみよう」と思えるようになります。
その一歩が、たとえ小さくても、確かに未来へと続いていく。
スプラウツは、その最初の一歩を一緒に描く場所でありたいと考えています。
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