
学力・人間力向上のためのブログ
-
2025/10/16
聡生館メソッド第4回 「“続ける力”が未来を変える ― 習慣・定着・モチベーションの科学」
はじめに
「勉強が続かない」「やる気が出ない」「覚えてもすぐに忘れる」――
これは多くの子どもたち、そして保護者の方から聡生館でよく聞く言葉です。
けれど、これらの悩みは、才能や性格の問題ではありません。
脳科学的に見れば、それは習慣化のメカニズムと記憶の定着プロセス、そしてモチベーションの源泉を理解していないだけのことなのです。
今回は、聡生館が実践している「続ける力を育てる指導法」について、科学的な裏付けとともにお伝えします。
1.「続かない」は“意志の弱さ”ではない
多くの人は「勉強が続かないのは意志が弱いから」と考えがちです。
しかし、心理学的にはこれは誤解です。
たとえば、行動科学者B.J.フォッグ(スタンフォード大学)は、「人間の行動は“モチベーション”よりも“仕組み”によって動く」と述べています。
つまり、「やる気」よりも、「やれる環境」と「やるきっかけ」があるかどうかが決定的なのです。
聡生館では、まず小さな成功体験の積み重ねを大切にします。
「できた!」という感覚が毎日の中にあること。
その積み重ねこそが、勉強を“続けたくなる”心を生むのです。
2.習慣化の鍵は「脳の自動化機能」
脳の神経細胞(ニューロン)は、繰り返される行動を“自動化”しようとします。
毎日同じ時間に勉強する。机に座ったらすぐにノートを開く。――
このような行動が続くと、脳はそれを“特別な努力”ではなく、“当たり前の行動”として認識します。
これは「基底核(きていかく)」と呼ばれる脳部位の働きによるものです。
一度、勉強が生活リズムに組み込まれれば、もう“がんばる”必要はなくなります。
それが**聡生館式「自然習慣化メソッド」**の基本です。
3.「わかったつもり」を防ぐ“定着プロセス”
勉強をしていて「昨日は理解できたのに、今日は忘れてしまった」という経験は誰にでもあります。
これは脳の「短期記憶」と「長期記憶」の橋渡しが上手くいっていないために起こる現象です。
記憶を定着させるには、**時間を空けた復習(分散学習)と自分で思い出す練習(想起練習)**が不可欠です。
聡生館では、授業後に「リフレクション・タイム(振り返り時間)」を設けています。
その日の理解を自分の言葉で整理し、「明日もできそうだ」と感じる状態で授業を終える。
これにより、記憶は一過性ではなく、確かな“思考の回路”として脳内に残ります。
また、AI教材との連携により、復習の最適タイミングを自動で提示。
生徒一人ひとりの記憶定着度を可視化することで、“忘れる前に復習する”科学的学習を実現しています。
4.モチベーションは「外」からではなく「内」から
モチベーションを「上げよう」としてもうまくいかないのは、外的な刺激(ご褒美や叱咤)が一時的な効果しか持たないからです。
本当に強いモチベーションとは、“自分で意味づけをした目標”から生まれます。
聡生館では、生徒一人ひとりに「自分の学びの目的」を考えてもらいます。
「なぜ英語を学ぶのか」「なぜ数学をやるのか」――
それを、講師との対話を通して掘り下げていくのです。
この“内発的動機づけ”こそが、子どもを変える鍵です。
外から押しつけられた目標ではなく、自分の心の中に“火”が灯るとき、子どもは驚くほど主体的に動き始めます。
5.「習慣 × 定着 × モチベーション」=学びの自立
「続ける力」は、単なる根性論ではありません。
それは、習慣の仕組みと記憶の科学、そして心の動機づけの三位一体によって支えられる力です。
聡生館の指導では、この3つを意識的に組み合わせます。
たとえば、
-
習慣:学習リズムを固定化するタイムスケジュール指導
-
定着:AIによる記憶サイクル管理と復習設計
-
モチベーション:対話による目標の内在化
このようにして、学びを“人にやらされるもの”から“自分で進めるもの”へと変えていくのです。
おわりに
「勉強ができる子」と「続けられる子」は、必ずしも同じではありません。
しかし、“続けられる子”は、いずれ必ず“できる子”になる。
それが、30年間にわたる指導経験から私たちが確信していることです。
子どもたちが、自分のペースで、でも確実に成長していくために――
聡生館は、今日も一人ひとりの“続ける力”を育てています。
関連記事
Category
カテゴリー
Archive
アーカイブ