
学力・人間力向上のためのブログ
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2025/10/10
シリーズ第5回 やる気が続く学習設計 ― 成功体験と自己効力感を育てる
「最初はやる気があったのに、途中で続かなくなる」
「頑張っているのに結果が出ず、やる気を失ってしまう」
こうした声を、学習指導の現場で耳にすることは少なくありません。
しかし、やる気は単なる「気持ちの問題」ではありません。
心理的な“設計”によって持続させることができる要素です。
聡生館では、学力の高低を問わず、一人ひとりの子どもが「学びを続ける力」を育むために、
心理学・脳科学・教育実践の三つの視点から、**“やる気が続く学習設計”**を構築しています。
◆ やる気の源は「自己効力感」にある
アメリカの心理学者アルバート・バンデューラ(Bandura, 1977)は、
人が行動を継続するための鍵として**自己効力感(Self-Efficacy)**という概念を提唱しました。
自己効力感とは、
「自分ならできる」という感覚のこと。
つまり、成功のイメージを持てる人ほど、挑戦を続けることができるという理論です。
聡生館ではこの考え方を授業設計の基盤に置き、
生徒が「やればできた」と感じられる場面を意図的に作り出しています。
それは単なる褒め言葉ではなく、実際に成功を体験させる設計です。
◆ スモールステップ設計 ― 「小さな成功」を積み上げる
多くの子どもが学習でつまずく理由は、「課題が大きすぎる」ことです。
完璧を求めてしまうと、達成できなかったときに自信を失います。
聡生館では、あえて「1回で達成可能な目標」を設定します。
たとえば英単語の暗記なら「10個完璧に覚える」ではなく、
「5個覚えて1個テストで使える」から始めます。
この**“達成できる目標設計”**が、モチベーションの継続につながります。
心理学的にも、成功体験はドーパミンを分泌させ、
「次もやってみよう」という快感を生み出します(Schultz, 1998)。
小さな成功を積み重ねるほど、子どもの中で「できた自分」が強化され、
失敗への恐れが減っていきます。
◆ 「できた」と感じる瞬間を意図的に作る
聡生館では、授業中に“できた瞬間”を逃さず言葉にします。
「今の考え方、とてもいいね」
「さっきより自分で気づけたね」
このような声かけは、結果ではなくプロセスを認めるフィードバックです。
ハーバード大学のキャロル・ドゥエック(Dweck, 2006)が提唱する
“成長マインドセット”にも通じます。
「できない」ではなく、「まだできていない」。
この言葉が、子どもたちにとっての希望になります。
聡生館では、ミスを“失敗”ではなく“発見”と捉え、
「なぜ間違えたのか」を一緒に分析することで、
子どもの自己評価をポジティブに転換していきます。
◆ 感情の安定がモチベーションを支える
脳科学の観点から見ると、やる気の中心には**報酬系回路(ドーパミン系)**があります。
この回路が活性化するには、「安心」と「挑戦」がバランスよく共存することが重要です。
過度なプレッシャーは扁桃体を刺激して不安を引き起こし、
前頭前野の働きを妨げて集中力を下げてしまいます。
そのため、聡生館の授業は「穏やかな緊張感」を大切にします。
静かな中にも対話があり、競争ではなく「共に成長する空気」が流れています。
生徒が安心して挑戦できる環境が、最も効率のよい学習状態(Flow)を生み出すのです。
◆ 行動を支える“内発的動機”を引き出す
やる気には「外発的」と「内発的」の2種類があります。
点数・賞・評価などの外的報酬は一時的に効果がありますが、
長く続くのは「自分のためにやりたい」という内発的動機です。
聡生館では、生徒自身が目標を“自分の言葉で設定する”時間を設けます。
「どうしてこの教科を頑張りたいのか」
「何をできるようになりたいのか」
この自己言語化の過程が、やる気の根を深くします。
目標を“与えられる”のではなく、“自分で決める”ことで、
主体的な学習姿勢が育ちます。
◆ モチベーションを可視化する聡生館の仕組み
聡生館では、子どもたちのモチベーション変化を記録する
**「学習カルテ」**を導入しています。
授業の理解度だけでなく、
「今日のやる気」「集中度」「達成感」を自己評価で書き残します。
このデータを講師が分析し、
モチベーションの波を見ながら次回授業の内容を調整します。
まさに“感情と学習のサイクル”を見える化した仕組みです。
◆ 成果を生み出す“続けられる学び”
やる気を継続させる最大のコツは、「結果」ではなく「プロセス」を喜ぶことです。
テストの点数よりも、「昨日の自分よりできたか」を重視する。
この自己比較の習慣が、長期的な成長を支えます。
聡生館では、学力の高低に関係なく、
誰もが“学びを続ける力”を手にできるように指導しています。
勉強とは、できるようになることを通して「自分を好きになる」こと。
そしてその気持ちこそが、何より強いやる気の源なのです。
◆ おわりに
「やる気がある子を育てる」のではなく、
「やる気を生み出せる子」を育てる。
それが聡生館の教育理念です。
学びを続ける力は、才能ではなく設計で生まれます。
小さな成功体験を積み重ねながら、自分を信じる力を育てていく――。
それが、聡生館の“やる気が続く学習設計”の真髄です。
📘 小金井市で30年以上。
一人ひとりの可能性を信じ、心と脳の両面から支える個別指導塾 聡生館。
今日も、生徒たちの「できた!」の瞬間が教室に響いています。
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