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2025/11/16
聡生館
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勉強ができる脳の作り方 ― 年齢・脳科学・AI時代の「学力方程式」

1.“勉強ができる子” は生まれつきなのか

「うちの子は頭が悪いんじゃないか」
「小さいころもっと勉強させておけばよかった」

塾の面談で、保護者の方からよく耳にする言葉です。
しかし、長年子どもたちを見てきて、私ははっきり言えることがあります。

勉強ができるかどうかは、才能ではなく “方程式” の問題である。

その子の「脳の状態」「思考のくせ」「学習環境」が掛け算になって、
結果として 現在の学力 が表れているだけなのです。

そこで、今日のブログでは、聡生館で大切にしている
3つの 「学力方程式」 を使いながら、
「勉強ができる脳」をどう作っていくのかを考えてみたいと思います。


2.第1の方程式:基礎学力の方程式

まずは、テストの点数や通知表に直結する 基礎学力
これをシンプルに式で表すと、次のようになります。

基礎学力 = 理解力 × 思考力 × 学習習慣

① 理解力

教科書の文章や先生の説明を「意味として受け取る力」です。
・語彙の量
・文章をイメージに変換する力
・前後の文脈をつなげる力
こうした要素が土台になります。

② 思考力

理解した内容を使って、
「なぜ?」「どうしてそうなる?」 を追いかける力です。
公式を当てはめるだけの計算は、思考力ではありません。
・筋道を立てて考える
・条件を整理する
・別のやり方を比べる
こうしたトレーニングが必要です。

③ 学習習慣

どれだけ頭が良くても、
「問題に向かう時間」がゼロなら、学力は掛け算でゼロになります。

理解力が 80、思考力が 80、習慣が 0 の子は
80 × 80 × 0 = 0 になってしまう。

逆に、

理解力 60、思考力 60、習慣 60 の子は
60 × 60 × 60 = 216,000 と、数字で見ると大差がつきます。

勉強が得意な子は、「特別に頭が良い」からというより、
この3つの値がバランスよく高い のです。


3.第2の方程式:脳のコンディションの方程式

では、その「理解力」「思考力」「習慣」を支える土台は何か。
ここで出てくるのが、聡生館でいつも意識している 脳コンディションの方程式 です。

学ぶ力 = 脳の土台 × 学び方 × 学ぶ環境

(1)脳の土台

脳の土台とは、

  • 睡眠

  • 生活リズム

  • 食事

  • 感情の安定(不安・怒り・自己否定が少ない状態)

です。

このどれかが大きく崩れていると、
理解力と思考力が十分にあっても、
脳が本来の力を発揮できません。

よく、

「授業では分かっているのに、テストになると真っ白になる」

という相談を受けますが、
これは 土台の部分がマイナスに働いているサイン です。

(2)学び方

同じ時間勉強しても、
「ただノートを写しているだけ」の時間と、
「解き方の筋道を言葉にして整理している」時間では、
脳の伸び方がまったく違います。

ここには、

・インプットとアウトプットのバランス
・復習のタイミング
・自分の弱点分析

などの要素が入ってきます。

(3)学ぶ環境

・家の中に静かな学習スペースがあるか
・周りの大人の声かけが「比較」ではなく「応援」になっているか
・質問できる相手がいるか

これらは、すべて脳のコンディションを左右します。


4.第3の方程式:AI時代の学力方程式

さらに、これからの子どもたちが生きるのは AIと共存する時代 です。
そのときに求められる学力は、次の式で表すことができます。

AI時代の学力 =(知識 + 問い)× メタ認知

(1)知識だけでは不十分

AIは、知識をものすごいスピードで検索し、
私たちより早く、正確に答えを出します。

だからといって、人間が知識を持たなくてよいわけではありません。
知識がゼロだと、
AIが出した答えの意味を理解し、吟味し、修正することができない からです。


(2)「問い」を立てる力

AIが苦手なのは、
「そもそも何を聞くべきか」を決める部分です。

・このデータから何が言えそうか?
・どんな比較をすると違いが見えるか?
・本当に知りたいことは何なのか?

こうした 「問いのデザイン」 は、
人間の仕事として残り続けます。

(3)メタ認知

メタ認知とは、

「今、自分はどう考えているのか」
「どこでつまずいているのか」
「どう直せばよさそうか」

を、一歩引いた場所から見られる力です。

AI時代の学力方程式では、
知識と問いを、メタ認知が増幅する という構造になっています。


5.3つの方程式を現実の子どもに当てはめてみる

ここまで、

  1. 基礎学力の方程式

  2. 脳コンディションの方程式

  3. AI時代の学力方程式

を見てきました。

では、実際の子どもたちにはどう当てはまるのでしょうか。

ケース1:テスト前だけ頑張る中学生

  • 授業の理解力:そこそこある

  • 思考力:応用問題になると急に止まる

  • 学習習慣:テスト直前だけ急上昇

この場合、基礎学力の方程式では、
「学習習慣」が極端に小さいため、
全体の値がなかなか上がりません。

ここに手を入れるとき、
ただ「もっと勉強しなさい」と叱るのではなく、

  1. 毎日 30分だけ「脳のウォーミングアップ」として簡単な復習をする

  2. 終わったら、短い達成コメントをノートに書かせる

といった 習慣づくりの仕組み を付け加えると、
方程式の値が少しずつ上がっていきます。


ケース2:不登校で自信を失った高校生

  • 脳の土台:生活リズムの乱れ、自己否定感が強い

  • 学び方:そもそも「何から始めればよいか分からない」

  • 学ぶ環境:学校との距離が生まれ、孤立感が強い

この場合、いきなり「基礎学力の方程式」をいじる前に、
まず 「学ぶ力=脳の土台×学び方×環境」 のうち、
「土台」と「環境」から整えていく必要があります。

・起床時間を毎日15分ずつ早める
・オンラインでもいいので、顔が見える人との対話を増やす
・「今日はここまでできた」という小さな成功を一緒に確認する

こうした積み重ねが、
やがて 「もう一度、勉強してみようかな」 という気持ちを生み、
基礎学力の方程式を動かせる状態にしていきます。


6.家庭でできる「方程式のチューニング」

「うちでは何から始めればいいですか?」
という質問もよくいただきます。

3つの方程式を全部完璧に整える必要はありません。
まずは、どこが一番小さくなっているか を一緒に探すことが大切です。

① 5分でできる脳の土台づくり

  • 寝る前1時間は、スマホの光を浴びる時間を少し減らしてみる

  • 「今日よかったこと」を親子で1つずつ口に出す

これだけでも、脳のストレス度合いは変わっていきます。

② 「問い」を一緒に楽しむ

  • ニュースを見ながら「どうしてこうなったんだろう?」と子どもに聞いてみる

  • 勉強の問題を解いたあと「他の解き方はあるかな?」と話してみる

正解を当てることが目的ではなく、
問いを立てる習慣を共有すること が目的です。

③ メタ認知の種をまく声かけ

「なんでできなかったの?」ではなく、

「どこまで分かってて、どこから分からなくなった?」
と聞いてみる。

これだけで、子どもの頭の中に
「自分の考え方を振り返る視点」が育ち始めます。


7.聡生館で大切にしていること

聡生館の指導では、
今日紹介した3つの方程式を意識しながら、
一人ひとりの状況に合わせて 「どこから整えるか」 を一緒に考えています。

  • テストの点数だけでなく、
    子どもの表情・睡眠・生活リズムから「脳の土台」を見る。

  • ただ解説をするのではなく、
    解き方の道筋を一緒に言語化して「思考力」を鍛える。

  • AIも活用しながら、
    「自分で問いを立て、学び方を選べる力」を育てる。

こうした取り組みを通じて、
「勉強が苦手」「学校がしんどい」と感じていた子どもたちが、
少しずつ “学びのスイッチ” を入れ直していく姿 を、たくさん見てきました。


8.おわりに ― 方程式は変えられる

今日ご紹介した3つの方程式を、あらためて並べてみます。

基礎学力 = 理解力 × 思考力 × 学習習慣
学ぶ力 = 脳の土台 × 学び方 × 学ぶ環境
AI時代の学力 =(知識 + 問い)× メタ認知

どの式も、どれか1つがゼロになれば、結果はゼロになります。
しかし同時に、どれか1つを少し上げるだけで、全体が大きく変わる という希望の式でもあります。

「うちの子はもう手遅れかもしれない」
そう感じている保護者の方がいたら、
ぜひこの方程式を思い出してください。

脳は年齢にかかわらず、一生を通じて変化します。
学びの環境と方法を整えていけば、
子どもたちの中に眠っている力は、必ずもう一度動き始めます。

そのプロセスを、聡生館はこれからも
一人ひとりと一緒に歩んでいきたいと思います。


 by  Dr.Kazushige.O


    一般社団法人自在能力開発研究所 代表理事  聡生館 代表

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