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学力・人間力向上のためのブログ

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  • 2025/11/05

    🌱思考は“対話”の中で育つ ― 聴く力・待つ力の教育

 教室の中で、誰かが話しているとき、

 それを静かに聴いている子どもの表情には、たくさんの“考える力”が隠れています。

 言葉を聴くというのは、単に耳で音を拾うことではありません。
 相手の思いを感じ取り、自分の中で問いを立て、答えを探していく。
 それは、心の深い部分で行われる“対話”なのです。

 スプラウツの教室でも、学びが動き出す瞬間はいつも「対話」から始まります。
 そしてその対話を支えているのが、「聴く力」と「待つ力」です。


■“聴く”とは、相手の中に入っていくこと

 子どもたちは、大人が思っている以上に、誰かに“聴いてほしい”と願っています。
 自分の思いを受け止めてくれる人がいるだけで、心は安心し、言葉が出てくるのです。

 「聴く」という行為には、相手を変えようとしない静かな優しさがあります。
 たとえば、不登校の子が勇気を出して話し始めたとき、
 大人がすぐに「頑張ろう」「大丈夫」と励ましてしまうと、
 子どもの心の扉はまたそっと閉じてしまいます。

 大切なのは、“答えを返すこと”ではなく、“その言葉の奥を感じること”。
 子どもが語る一言一言の中に、「私はここにいる」「分かってほしい」という声が込められているのです。
 その声に耳を澄ませることが、対話の第一歩です。


■“待つ”という教育

 子どもが自分の言葉で考えるには、時間がかかります。
 けれども、その沈黙の中にこそ、思考の芽が生まれています。

 教師や保護者がすぐに答えを与えてしまうと、
 子どもは“自分で考える力”を育てる機会を失ってしまいます。

 スプラウツでは、「沈黙を恐れない教室づくり」を心がけています。
 子どもが考え込んでいるとき、大人が口を挟まずにただ見守る。
 それは“待つ教育”です。

 待つという行為は、信頼の表現でもあります。
 「きっと、この子は自分の言葉を見つけられる」と信じる。
 その信頼のまなざしが、子どもの心を安心させ、思考を深めていきます。


■対話が思考を育てる理由

 人は、言葉にして初めて、自分の考えを“見える形”にできます。
 話すことは、思考を整理する作業でもあるのです。

 たとえば、子ども同士の話し合いの中で、
 「わたしはこう思う」「でも、ぼくはこう感じた」と意見がぶつかる瞬間。
 そのとき、子どもたちは“考えること”と“聴くこと”を同時に学んでいます。

 対話とは、答えを競う場ではなく、違いを受け入れる場。
 異なる考えに出会うことで、自分の考えが揺れ、広がり、磨かれていく。
 それが、思考の成長です。


■“教える”よりも、“共に考える”

 スプラウツの先生たちは、子どもたちに教えるよりも、“共に考える”ことを大切にしています。
 「どうしてそう思ったの?」
 「もし違う見方をしたら、どうなると思う?」
 そんな問いを投げかけながら、子どもと先生の間に小さな“対話の橋”をかけていきます。

 教えるという行為が“上からの知識の伝達”だとすれば、
 共に考えるというのは、“横に並んで歩く”教育です。
 それがスプラウツの基本姿勢であり、心の教育の土台でもあります。


■“聴く力”が育つとき、子どもの世界が変わる

 聴くことは、他者を理解するだけでなく、自分を見つめることにもつながります。
 誰かの意見に耳を傾けながら、「自分はどう感じるのか」を確かめる。
 それが、自己理解の始まりです。

 そして、この「聴く力」は、やがて“共感する力”に変わっていきます。
 人の痛みを想像できる子は、やさしいだけでなく、強くなれる。
 対話を通して生まれる思考は、人間としての深さを育てるのです。


■“待つ力”が信頼を生む

 待つことは、子どもに自由を渡すことです。
 「あなたの中に答えがある」と信じて、口を閉ざす。
 それは、決して放任ではありません。
 子どもが自分で歩き出す瞬間を信じる、“静かなサポート”なのです。

 スプラウツの教室では、先生たちが子どもの沈黙を大切にしています。
 問いを投げかけたあとの数秒間、あるいは数分間。
 子どもたちの中で、言葉にならない思考が静かに形をつくっていく。
 その時間を大切にできる場所こそ、本当の学びの場です。


■対話が生きる力を育てる

 社会に出れば、答えのない問いに向き合うことがたくさんあります。
 そのときに必要なのは、単なる知識ではなく、
 「人と対話しながら考える力」「自分の意見を持ちつつ、他者を理解する力」です。

 スプラウツの子どもたちは、教室での対話を通して、
 “正解を探す学び”から、“意味を見つける学び”へと成長していきます。

 それは、心を開く練習であり、人生を生き抜く練習でもあります。


■終わりに ― 聴くこと、待つこと、そして信じること

 対話は、心と心を結ぶ橋です。
 その橋の上で、人は初めて本当の意味で“考える存在”になります。

 「聴く力」「待つ力」、そして「信じる力」。
 この三つがそろったとき、学びの場にはやさしさと知恵が同居します。

 スプラウツは、子どもたちの心の声を聴き、
 その声が自分の言葉として外へ出ていくのを、静かに待ち続ける場所でありたいと思います。


🌱
by Dr. Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所/Sprouts フリースクール代表

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