
「家では机に向かうのに、すぐに手が止まってしまう」
「学校の授業に集中できず、ぼんやりしている時間が長い」
「勉強しようとすると、強い疲れや不安を訴える」
こうしたご相談は、フリースクール・スプラウツに日々寄せられています。
多くの保護者の方が、「やる気の問題ではないか」「甘えているのではないか」と自分を責めてしまいます。しかし、実際に子どもたちと向き合っていると、その見方は大きく違うことが分かってきます。
集中できない状態は、決して怠けや意欲不足ではありません。
それは、心と脳が「今はこれ以上がんばれない」と必死に訴えているサインであることが、非常に多いのです。
集中力は「気合」や「根性」で生まれるものではない
集中力という言葉は、とても便利ですが、誤解も生みやすい言葉です。
集中とは、意志の強さや努力量だけで作り出せるものではありません。
脳が比較的落ち着き、
「今は安全だ」
「ここに意識を向けても大丈夫だ」
と感じているとき、自然に生まれる状態が集中です。
不登校や登校しぶりの状態にある子どもたちは、表には見えなくても、心と身体に大きな緊張を抱えていることがあります。その状態で集中を求められること自体が、すでに大きな負荷になってしまうのです。
脳科学から見る「集中できない理由」
集中には、前頭前野と呼ばれる脳の働きが深く関わっています。
この部分は、注意を持続させたり、気が散る刺激を抑えたり、今やるべきことに意識を戻したりする役割を担っています。
しかし、強い不安やストレスが続くと、この前頭前野の働きは低下しやすくなります。
脳が「危険かもしれない」「緊張を解けない」と感じているとき、集中は後回しにされてしまうのです。
これは怠けではなく、脳の自然な防御反応です。
心理的な視点――集中を妨げる「こころの疲れ」
心理的な側面から見ても、集中できない背景には多くの要因があります。
・失敗体験の積み重ね
・叱責や否定を受けた記憶
・周囲と比べられてきた経験
こうした体験が続くと、
「またできなかったらどうしよう」
「自分はダメなのではないか」
という思いが無意識に心を占めるようになります。
その状態では、勉強に向かおうとするだけで心が消耗してしまいます。
集中できないのは、心が弱いからではありません。
それまで必死に耐えてきた結果なのです。
集中力を取り戻すために、まず必要なこと
集中力を取り戻すために、最初に必要なのは「がんばらせること」ではありません。
・安心できる環境
・否定されない関わり
・評価を急がれない時間
こうした「回復の土台」が整うことで、集中力は少しずつ戻ってきます。
フリースクール・スプラウツでは、
集中できるかどうかを指導や評価の基準にはしていません。
その子が今、どんな状態で、どんな気持ちでここにいるのか。
そこを何より大切にしています。
集中力は「戻ってくる力」でもある
集中力は、一度失われたら戻らないものではありません。
安心と信頼の中で、自然に回復していく力でもあります。
最初は何も手につかなかった子が、
ある日ふと本を読み始めたり、
好きなことに没頭し始めたりする瞬間があります。
それは、「勉強をさせたから」ではなく、
「安心してここにいていい」と感じられた結果です。
集中する対象が、最初は勉強でなくても構いません。
集中できる状態そのものを取り戻すことが、次の学びにつながっていきます。
小さな集中体験を積み重ねる
スプラウツでは、長時間の集中を求めません。
5分、10分といった短い時間でも、「できた」という感覚を大切にします。
「今日はここまでできた」
「これだけやれたら十分」
その積み重ねが、
「自分は集中できる」という感覚を少しずつ育てていきます。
保護者の方へ
焦る気持ち、不安な気持ちは、とても自然なものです。
しかし、今この瞬間に必要なのは、結果を急ぐことではなく、
子どもの心と脳が回復するための時間かもしれません。
立ち止まる時間も、遠回りに見える時間も、
決して無駄ではありません。
おわりに
集中できないという状態は、「問題」ではありません。
それは、心と脳が必死にバランスを取ろうとしている姿です。
フリースクール・スプラウツは、
その時間を安心して過ごせる場所でありたいと考えています。
🌱
by Dr.Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所 代表理事
聡生館/Sprouts フリースクール代表)
-
聡生館最年少の通塾生から「お土産」のお菓子を頂きました。箱根に行ってきたようです。2025/05/03 -
その他難関大の数学に挑む — ワンステップ上の思考力をどう身につけるか2025/09/21 -
聡生館定期テストは計画がすべて — 成功の第一歩を踏み出そう2025/09/22


