>はじめに
「うちの子は、何をやらせても続かない」
「得意なことが見つからないんです」
そう話す保護者の方が多くいます。
けれど本当に、“得意なこと”がない子など、いません。
たとえそれがまだ形になっていないとしても、
子どもの中には必ず「芽」があります。
スプラウツメソッドの第2回では、
その“芽”をどう見つけ、どう育てていくか——
つまり、「できる」を見つけて伸ばす支援についてお話しします。
「できない」を直すより、「できる」を広げる
多くの支援や学習の場では、「苦手克服」が目標に掲げられます。
確かに、苦手を放っておくと学びの幅は狭まります。
けれど、最初から苦手に焦点を当てすぎると、
子どもの自己肯定感はどんどん下がってしまいます。
スプラウツでは、
まず「できる部分」「得意なこと」「興味のあること」に光を当てます。
その瞬間、子どもの表情が少し変わるのです。
「自分には何かできることがある」——
その実感が、再び学ぶ力のエネルギーとなります。
“できる”を見つける3つの視点
�@ 「できている行動」を観察する
子どもは言葉ではなく、行動で自分を表現します。
たとえば、教室で小さな子を手伝っていたり、
ブロックを几帳面に並べていたり。
それらは“能力のサイン”です。
スプラウツでは、「評価」ではなく「観察」を大切にします。
どんな行動の中にも、その子らしさが表れています。
�A 「興味の方向」に耳を傾ける
不登校や発達特性のある子どもは、
「興味があること」には驚くほどの集中力を発揮します。
ゲーム、動物、電車、絵、音楽——。
たとえそれが“勉強と関係なさそう”に見えても、
その興味の中に「学びの入口」が隠れています。
スプラウツでは、まず子どもが“語りたくなること”をテーマに、
コミュニケーションや探究活動を広げていきます。
�B 「小さな成功体験」を重ねる
得意を見つけたあとに大切なのが、
それを“成功体験”として積み上げることです。
たとえば、1時間集中して作業ができた。
発表で一言話せた。
作品を最後まで仕上げられた——。
それらはどんなに小さくても立派な成功体験。
この積み重ねが、子どもの「できる自分」という感覚を育て、
「次もやってみよう」という前向きな力に変わっていきます。
「できる」を軸にした支援が生む、心の変化
「できること」を軸に支援を組み立てると、
子どもの中に“心の余白”が生まれます。
自信が芽生えると、他者との関係も変わります。
「教えて」「手伝うね」と言えるようになり、
周囲との関わりの中で新しい自分を発見していく。
それがスプラウツがめざす「自立のはじまり」です。
スプラウツの実践から
スプラウツでは、活動の中で「できたねノート」を活用しています。
小さな達成や良かった瞬間を、スタッフと一緒に書き留めるノートです。
「今日は自分から話しかけられた」
「作品を最後まで作った」
その一つひとつを、スタッフと共有しながら積み上げます。
こうした“できた瞬間”の記録が、
自己肯定感の見える化につながり、
子ども自身の力を信じる支えになります。
おわりに
スプラウツメソッド�Aのテーマは、
「できる」から始まる自己肯定感の再生です。
苦手を直すより、できることを広げる。
そのアプローチが、子どもにとって何よりの励ましになります。
子どもの中には、必ず“できる芽”がある。
スプラウツは、その芽を見つけ、丁寧に育てていきます。
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