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学力・人間力向上のためのブログ

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  • 2025/11/09

    🌱感情が思考を動かす ― 心理学が教える学びのダイナミクス

 私たちが何かを学ぶとき、いちばん最初に動いているのは「頭」ではなく「心」です。
 「楽しい」「うれしい」「悔しい」「知りたい」――こうした感情が生まれる瞬間に、人の思考は動き出します。
 心理学ではこれを「感情と認知の相互作用」と呼び、学びの根底にある“心のダイナミクス(動的な力学)”として研究されています。

 スプラウツの教室でも、子どもたちが何かに夢中になったり、
 時には悔しさに涙を見せたりする場面がよくあります。
 その感情の動きこそが、学びを生きたものにしているのです。


■「感情」は思考のスイッチ

 感情は、私たちの思考を起動させるスイッチのようなものです。
 心理学者リチャード・ラザルスは、「人は感情を通して世界を意味づけている」と述べています。
 つまり、感情がなければ、そもそも“考えること”そのものが始まらないのです。

 「できた!」という喜びが次の挑戦を生み、
 「悔しい」という感情がもう一度やってみようという意欲を生む。
 感情が動くことで、脳の報酬系(ドーパミン)が活性化し、学びの記憶が強化されることもわかっています。

 スプラウツでは、子どもたちが「心で動く」瞬間を何よりも大切にしています。
 学びは“感情の流れ”の上に成り立つからです。


■「感情を抑える教育」から「感情を活かす教育」へ

 従来の教育では、「感情を抑えて集中しなさい」と言われることが多くありました。
 しかし、それでは学びの源泉である“内的な動機”が失われてしまいます。

 スプラウツでは、子どもの感情を否定せずに受け止めます。
 たとえば、
 「今日はやる気が出ない」
 「難しくて嫌になっちゃった」
 そんな言葉も、心が動いているサインです。

 それを否定するのではなく、
 「そう感じるのは大切なことだよ」「どんなところが難しかった?」と問いかける。
 すると、感情が落ち着き、思考が再び動き出します。

 感情を抑えるのではなく、感情を“整理して使う”。
 これが、現代の心理教育で求められる新しいアプローチです。


■「心のエネルギー」が学びを支える

 感情は、心のエネルギーそのものです。
 エネルギーがあるとき、人は考え、動き、創造します。
 逆に、心が疲れてエネルギーが枯渇していると、どんなに正しい方法を学んでも力が出ません。

 不登校や引きこもりの子どもたちは、
 知識ではなく“心のエネルギー”を失ってしまっていることが多いのです。
 だからこそ、スプラウツではまず“心を回復させること”を学びの第一歩としています。

 安心できる場所で、感情を安心して表現できるようになると、
 子どもたちの思考は自然に動き出します。
 それが「心が動けば、学びも動く」というスプラウツの信念です。


■感情を通して「自分を知る」

 感情は、自分を映す鏡でもあります。
 嬉しいとき、悲しいとき、怒ったとき――その裏側には必ず「自分にとって大切なもの」が隠れています。

 たとえば、テストで点が取れずに悔しいと感じたのなら、
 それは「できるようになりたい」という願いの表れです。
 仲間とうまくいかずに悲しいときは、「つながりたい」という心の叫びです。

 感情を見つめることは、自分を理解すること。
 心理学的にも、自己理解が高まるほど、ストレスに強く、学びに前向きになることが知られています。
 スプラウツでは、子どもたちが自分の感情を言葉にし、
 それを受け止めてもらえることで、少しずつ“自己理解”が深まっていきます。


■「考える」と「感じる」をつなぐ

 思考と感情は、対立するものではありません。
 実は、この二つがバランスよく働くとき、人は最も創造的になります。

 感情が思考に火をつけ、思考が感情を整える。
 この循環こそが“学びのダイナミクス(動きのある学び)”です。

 たとえば、ある子が「この問題、全然できない!」と感情を爆発させたとします。
 大人がその瞬間をチャンスととらえ、
 「できないって思ったとき、どこでつまずいた?」と一緒に考えると、
 その“感情”が“分析”に変わり、次の行動へとつながっていきます。

 感じることと考えること――
 この二つをつなぐのが、教育の本来の姿なのです。


■感情があるから、人は学び続けられる

 学びを支えているのは、論理ではなく感情です。
 好きだから続けられる。
 悔しいから頑張れる。
 感動したから覚えている。

 それは誰もが持つ、人間らしい学びのエネルギーです。
 AIがどれだけ進化しても、この「心のダイナミクス」だけは真似できません。

 スプラウツが大切にしているのは、
 この“人間らしい学び”を取り戻すことです。
 子どもたちの感情を丁寧に受け止めながら、
 心が動く瞬間を一緒に見つけていく――そこに、教育の未来があります。


■終わりに ― 心が動くと、学びが動く

 感情は、思考の始まりです。
 そして思考は、行動を生み出します。
 このシンプルな循環の中に、教育のすべてが詰まっています。

 子どもたちが安心して感情を表現できる場所、
 心が動くことを恥ずかしいと思わない場所、
 そんな教室をつくることが、スプラウツの願いです。

 感情を通して学ぶ力を育てる――
 それが、スプラウツの「心の教育」です。


🌱
by Dr. Kazushige.O
(一般社団法人 自在能力開発研究所/Sprouts フリースクール代表)

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